7.魚と洋服と化粧品のゴッタ煮 ―アメ横のメタボリズム―

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 「安いよ、安いよ!」。洋服を買いに来た若者に、魚屋の店員が行く先々で威勢のいい声をかける。ここは上野のアメヤ横丁。JR上野駅から御徒町駅までのガードに沿って、食料品店、洋服店、化粧品店、輸入雑貨店など約500店が軒を連ねる一大ショッピングセンターだ。写真は、一年で一番賑わう大晦日の様子を写したもの。正月用食品の売り出しは東京の年の瀬の名物風景となっており、連日すごい人ごみとなる。アメ横のルーツは敗戦直後に発生したヤミ市(自由市場)であり、当時は飴屋が多かったのでアメ横の名が定着したが、以来種々様々な露天商が入れ替わり立ち替わり、今日に至っている。同一空間に雑多なものがゴッタ煮的に共存する“雑居性”こそ、アメ横のもっともアメ横らしい点だろう。この雑居性の絶えざる更新(新陳代謝)とその一大集積が、アメ横に活力を生み出し、賑わいを絶やさない魅力の源泉になっているかのようだ。
写真原作者:立正大学3年 渡辺成美
1997年12月31日(水)午前11時49分
上野・アメヤ横丁にて撮影

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