7.HIPHOPと小学校の共存 ―宇田川の二面性―

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 壁に描かれているのはグラフィティと呼ばれ、スプレーなどで特に目立つように表現されたHIPHOP特有の落書きである。ここ宇田川町は、日本のHIPHOP文化の中心であるため、グラフィティが多く、治安も悪そうに見えるが、壁の向こう側には1本の道路を挟み、渋谷区立神南小学校がある。積極的でユニークな教育実践により人気が高い小学校だ。
 後藤ゼミが写真の落書きについてインタビュー調査(9/20・25,10/4)をしたところ、壁の向こう側を歩く31人中24人が「落書きは知らない」と答え、禁止通学路である手前側を歩く58人中41人は「アート性がある」「文化として根付いている」等と肯定的に答えた。
 この壁を境界線にして、落書きに対する認識に差があった。さらに、学校の壁面に児童が絵を描き落書きされないようにしていることもあって、壁の向こう側にはグラフィティはほとんどない。良質な教育環境を守るため小学校が意図的に境界線を引くことで、HIPHOPを排除し二面性を作り出している。両者は、互いに交わらないことで共存していたのだ。
写真撮影者:日本大学4年 奥洞さやか
2013年7月24日(水)16時51分
東京都渋谷区宇田川町6丁目10にて撮影

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