17.「都市の豊かさ」とは何か ―日の当たらない野宿労働者たち―

1995_17_「都市の豊かさ」とは何か.jpg
 これも青島都知事登場の影響なのか、美化目的のためビルの影に追いやられていた野宿労働者たちが新宿の地下街に戻ってきた。「開かれた都政」宣言にわずかな望みをつなごうと、拡声器片手に、生活と仕事の保証、自分たち自身の存在を訴えて座り込んでいる。
 しかし、彼らの声も手刷りのビラも、家路を急ぐ会社員には届かない。明日の米代を求めるカンパの箱の前で、足を止める人もほとんどいない。狭い空からたたきつける冷たい雨と、高層ビルを吹き抜けるビル風は、無情にも彼らの声を奪っていく。
写真原作者:法政大学3年 朝倉洋子

プロジェクト