28.大都市「東京」それぞれの生き方 ―異質的なるものの同時的存在―

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 整備されたビル街、ターミナルで列をなしてバスを待つ人々、手前にはホームレスの人々が青空の下でゴロ寝している。これらの異質物が何の脈絡もなく隣り合っているのに、特に違和感もなく見えてしまうのが、いかにも大都市「東京」らしい。
 むしろ、のんびりとこの生活を悠々自適に楽しんでいるように見えるホームレスの人々に比べ、「東京人」の多くは、うさぎ小屋に住み、時間に追われ、情報に振り回され、無機質な都会の人間関係(アーバニズム)に疲れを覚えている。このような意味では、物にあふれ、人々が無関心といった大都会の特徴をうまく利用して生きているホームレスの人々の方が、ずっと「東京」を理解しているのかも知れない。
写真原作者:日本大学2年 工藤悦子

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