22.新宿 Times Square ―時代と時代が交錯する街―

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 ここは、新宿南口のタカシマヤ・タイムズスクエアの前。この道を一本隔てると、新しい新宿イメージとはかけ離れた光景が目に飛び込む。木造低層の旅館の存在である。実は、写真の桂屋旅館周辺は旅館街になっているのだ。宿泊料は一泊4000円程度。旅館の一つ「千花」の女将は言う。「ここは戦後に建てられた旅館で、本来ならば、今頃道路になっているはずだった」。バブル期に道路の拡張計画が立てられ、地図には線が引かれている。現に並びのスポ ーツ用品店は、道路拡張分の土地を空けて建てている。ところが、バブルがはじけ、旅館への補償金が払えなくなってしまい、今でもこの計画は滞ったままである。その結果、皮肉なことに、この道一本が新旧の時代を視覚的に分ける役割を果たすことになった。ここは、旧時代(左側)と新時代(右側)とを包み込む空間という意味で、正に“Times Square(時代の広場)”なのだ。
写真原作者:日本大学4年 橋本崇二郎
1999年10月7日(木)午後3時頃
新宿南口の高島屋付近(渋谷区千駄ヶ谷)にて撮影

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