6.空洞のラビリンス ―社会学版・孤独な夢想者の散歩道―

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 銀座6丁目付近の、有楽町駅に程近い、JR線のガードわき。右手奥には免税店の立ち並ぶインターナショナル・アーケードがあり、左手奥には商店街が軒を連ねる。そな中にあって、このようなまるで「生気のない」空間がぽつんと存在する。盛り場の中の空白。「東京」の都心は、高次の大都市機能を肥大化させた代償として、居住できない空間に塗り替えられ、またこのような「空洞」ともいうべき空間をしばしば生み出している。
 本来あるべき「東京」の姿とは、一体どのようなものなのか。人々は、その内側に空洞をはらんだまま、あわただしく毎日を送っている。道筋の彼方に独りぽつりと写る人影は、私たちの未来の姿を暗示している。
 私たちは、どんな道を通ってどこへ行くのか。
写真原作者:法政大学4年 川尻一

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