2019年度

展示テーマ:見えにくい「権力」作用 ―管理と監視と操作と誘導と―

 今年で26回目となる“写真で語る:「東京」の社会学”展は、「見えにくい『権力』作用―管理と監視と操作と誘導と―」をテーマとして、2019年度の新作5点とテーマに関連する過去作15点の合計20点の作品を展示して、「見えにくい『権力』作用」の諸相と背景やメカニズムを探究します。
 『社会学小辞典』によれば、「権力(power)」とは、「社会関係において人間の行動様式を統制する能力」のことを言います。そして、この「人間行動への統制力」には、権力手段による威嚇や価値剥奪を通して「強制的に服従させる『強制』」と、利益誘導や価値付与を通して「自発的に服従する『合意』」という、相異なる2つの側面が併せ持たれています。
 私たちが生きる現実社会では、政治権力、経済権力、社会権力などの様々な「権力」がうごめいています。国民に対する国家、雇用者に対する企業経営者、患者に対する医師、児童・生徒に対する教師、選手に対する監督・コーチ、信者に対する宗教指導者、子どもに対する親、被虐待者に対する虐待者などといった不均等な力関係を背景に、強い力を持つ者が弱い立場の者に対して威嚇や暴力によって一方向的に権力を行使すると、暴君と支配-被支配の「強制的に服従させる」関係が生まれることになります。これらは、マス・メディアでもよく取り上げられる、その意味で目に付きやすく、分かりやすい権力作用です。
 他方で、現代の社会では、そうしたあからさまな「強制」を薄めて、人々が権力を有する人や機関に「自発的に服従(合意)する」ように「させる技術」が高度に発達するようになっています。巧妙・狡猾な「管理」や「監視」や「操作」や「誘導」などがこれにあたります。これらは、注意深く観察しないと捉えることができません。その意味で、見えにくく、分かりにくい権力作用と言えるでしょう。だからこそ、社会学が解き明かすべき研究対象となるのです。

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