9.乗車率200%であっても ―おなじみのルーティン―

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 京王井の頭線渋谷駅の最後尾。既に超満員である車両に無理やり身体を押し込もうとする人々がいる一方で、座るために次の電車をホームで待つ人もいる。
 ラッシュ時の始発駅でよく目にするこの光景は、主要な駅で他の路線へ直ぐに乗り換えられる階段や改札に近い車両で起きやすい。京王井の頭線の渋谷駅の場合だと、明大前駅で京王線に乗り換える階段に近い最後尾の車両、終点の吉祥寺駅でJR中央線に乗り換える改札に近い先頭車両が特に混む。これは、接続する電車に乗り遅れると目的地に着くのに10分以上も無駄な時間がかかってしまうのを避けるためだ。通勤・通学客の大半は、時間によほど余裕がない限り、毎日同じ時刻同じ車両に乗るため、車内で身動きが取れない状態になってしまっても、身体を押し込むものである。
 彼らが行うこの行為は、無駄なく効率的に動くために経験から生み出された時間節約術であり、日々のルーティンなのであった。
写真撮影者:日本大学2年 鈴木星生花
2016年7月25日(月)18時45分
京王井の頭線渋谷駅(東京都渋谷区道玄坂1丁目)にて撮影

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