12.何故行列ができるのか? ―後藤ゼミ'98年新宿・渋谷調査から―

1999_12_02_何故行列ができるのか?.jpg

1999_12_01_何故行列ができるのか?.jpg

1999_12_03_何故行列ができるのか?.jpg
東京では、いたる所で「行列」が見られる。例えば、写真「1」の新宿の天ぷら屋「つな八」(1999年10月3日(日)撮影)や「2」の渋谷の回転寿司「築地本店」で順番を待つ人々(1999年7月76日(火)撮影)、「3」の同じく渋谷にあるFM東京のスペイン坂スタジオでの公開録音を待つ人々(1999年9月25日(土)撮影)のように、飲食店でも、イベント会場でも、宝くじ売場でも、映画館でも、デパートや専門店のセールでも行列ができる。それは、単に人口が多いから? 他人と競争することが好きだから? マスコミに踊らされているだけ? それとも並ぶのが好きだから? 並ぶのに慣れていて抵抗がないから?---何故、行列はできるのだろう? 行列を作るのはどんな人々なのだろう?
 後藤ゼミでは、現4年生が3年生だった時(1998年度)に、「新宿・渋谷の行列調査」を実施した。11月21・22・23日の3日間、新宿と渋谷で観察された行列に並んでいる人たちに突撃インタビューを敢行し、合計609人の方々から回答が得られた。データを集計・分析した結果、次のようなことがわかった。3点に絞って紹介しよう。
 
1.新宿も渋谷の行列参加者も、23区内居住者の割合が5割前後と最も高いが、多摩地区や神奈川・埼玉など近県に居住する者も4割前後を占めており、かなり広い範囲から集まっている(図1参照)。
 
2.街の情報に関しては、新宿で約6割、渋谷で約7割がTVや雑誌などマスメディアから得ており、口コミは新宿・渋谷共に約2割程度に留まっている(図2参照)。ところが、行列に並んでいる店の情報に関しては、口コミの比重がぐっと高まる。とりわけ、新宿では40数パーセントにも上っている。また渋谷では、TVと雑誌の割合が6割近くにも上り、新宿とは異なったあり方を示している(図3参照)。
 
3.店の情報に接した時期が最近である人ほどマスメディアの比重が高く、逆に時間が立っている人ほど口コミの比重が高い傾向が認められる(図4参照)。また、口コミで情報を得た人ほどリピーター率の高い傾向もある(図5参照)。
 
 これらの結果は、何を意味するのだろうか。
 
1.新宿も渋谷も、広域から人を引きつける力を持っている。特に、渋谷が神奈川県の居住者の割合が高くなるのは、渋谷と神奈川県の諸地域が東急線(東横線、田園都市線)や小田急線で直接結ばれ、アクセシビリティが高い分だけ人々の流動性が渋谷との関係につながりやすい。
 
2.渋谷の吸引力は、TVや雑誌などマスメディアによるところが大きい。若年層ほどマスメディアからの影響が大きいという数字も得ているので、渋谷の調査対象者が若者に偏ってしまった結果として、新宿と渋谷とでやや異なったあり方を示すことになったとも解釈できる。
 
3.マスコミ情報は即効的であるが長続きせず、逆に口コミ情報は遅効的だが長続きする。新宿も渋谷も街の情報全般についてはマスコミ情報に頼るが、行列に加わってもいい店であるかどうかの判断は口コミに負う度合いが高い。マスコミ情報を口コミで伝達する場合が最も情報効果が高い、ということになる。これは、「2段階の流れ説」を補強する。
1,写真原作者:日本大学4年 吉若勇一
2,写真原作者:立正大学1年 佐藤綾子
3,写真原作者:日本大学4年 中島美里

地図

プロジェクト