6.ぜひこちらでお召し上がりを! ―忍び寄る吸盤―

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 ここは、原宿のキャットストリートに店を構えるたこ焼き屋である。
 建物は薄く、店の敷地はわずか約3.8坪、最も薄いところで41.5cmしかない。土地の狭さを克服すると同時に、ひさしをつけ、公共の場である歩道に椅子を設けることで店を押し広げて、次々に客を呼び寄せている。
 私たちが祝日の9月23日(火)に行った調査結果によると、1日に450人もの客が訪れ、94.9%にあたる427人が店先や近くの石段に座って食べていた。たこ焼きを美味しそうにパクつく客を見て、それに引き寄せられて新たな客が並ぶという相乗効果が観察できた。
 タコは狭い岩場の隙間を好むというが、ここ原宿にあっては足を広げ、建物を色鮮やかに飾り、大きな看板も掲げて、自らの存在を目立たせている。ここには天敵もいない。だから、思いっきり広げた足の吸盤で、客を吸いつけて離さないのである。
 この地で2000年に開店し長く生き残っていくための秘訣が、ここに隠されている。
写真撮影者:日本大学3年 星 ともみ
2008年9月23日(火)16時30分
「第八蛸華丸」原宿表参道店(渋谷区神宮前5丁目)にて撮影

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