52.そこに三沢はいなかった ―悲しみに染まるリング―

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 「三沢!三沢!」。この日、後楽園ホールは収容可能人数の2,100人を超える観衆で埋め尽くされた。エメラルドグリーンのテープが次々とリングへ投げ込まれる。2009年6月22日に行われた、Southern Navig.'09シリーズ最終戦後の光景だ。
 この日の主役は、リングに立つはずであったプロレスラー三沢光晴(わずか9日前の6月13日に逝去、享年46歳)。自ら設立したプロレスリング・ノアの社長兼選手として、第一線で「命がけのプロレス」を実践し続けていたが、広島での試合中の事故により急逝。突然の悲報は日本全国のプロレスファンに衝撃を与えた。
 プロレスの聖地・後楽園ホールでの激闘を知るファンは、「方舟(はこぶね)」の船長の旅立ちに相応しい舞台にするために、三沢のパーソナルカラーで染め上げた。悲鳴にも似た声が木霊し、リングで戦ってきたその姿を呼び起こし、プロレスの歴史に三沢追悼の1頁をしっかりと刻みつけたのだ。
写真撮影者:日本大学3年 樋口和広
2009年6月22日(月)21時42分
後楽園ホール(文京区後楽1丁目)にて撮影

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