9.知られざる水運の力 ―ごみ運搬船から見えるもの―

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 この船なに? 水道橋駅西口のすぐ北側にある後楽橋から見た、神田川に浮かぶ船舶に不燃ごみが積み込まれる光景である。人が小さく見える。埃が舞っているのも分かる。
 千代田区と文京区で収集される、年間約50万tの不燃ごみの30%強が、ここ千代田清掃事務所三崎町中継所に運び込まれ、「はしけ」と呼ばれるごみ運搬船に積み替えられる。そして、東京湾内にある不燃ごみ処理センターまで運ばれて中間処理し、最終的には中央防波堤外側埋地処分場で埋立処分される。
 陸上から水上に、輸送をわざわざ切り替えるのは何故だろう? 実はこのはしけ、一隻でごみ収集車15-20台分のごみを運べるほど輸送効率が良く、交通渋滞の緩和や排気ガスの低減にも役立つのだ。勿論、東京は「水運の便」が元々高かったことも見落とせない。
 江戸は「水の都」といわれるほど、川や運河が重要な交通路として人びとの生活に密着していた。それは現在も、人の目に触れないところで、細々と受け継がれているのだった。
写真撮影者:日本大学3年 伊藤 しおり
2008年7月31日(木)13時50分
後楽橋(千代田区三崎町3丁目)にて撮影

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