8.階段上の芸術家 ―絵描きをこむ上野公園(キャンバス)―

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 高倉健、レオナルド・ディカプリオ、西田敏行など有名人の似顔絵が通行人の足を止める。上野公園に続く24段の階段に、似顔絵描きたちの即席のアトリエが広がる。要する時間は、1回15分程度。客は、平均して1日に5,6人といったところだ。
 東叡山寛永寺は、1625(寛永2)年に三代将軍・家光によって建立された徳川家の菩提寺で、6人の将軍が眠っている。この境内を整備し、1873(明治 6)年に日本初の公園に指定されたのが上野公園である。現在の東京藝術大学(1876年)、国立科学博物館(1877年)、国立博物館(1882年)、動物園(1882年)などが相次いで作られ、明治新政府は徳川色の脱色(無力化)に精力を注いだ。その後、ここには美術館も集結していき、いつしか「芸術の森」と呼ばれるようになった。それに呼応して、絵描きたちが引き寄せられるように集まり、階段を自分達の居場所に変えていったのである。
 今では、上野の森というキャンバスにとって欠くことのできない風景となっている。
写真撮影者:日本大学3年 森 明霞
2007年7月7日(土)15時頃
上野公園の入口階段(台東区上野公園)にて撮影

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