9. もう一つのジャーミー ―人を束ねる信仰―

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 様々な言語が入り混じる看板を通り過ぎる多国籍な人々。中央に見える唯一の日本語の表記が、かえって異国情緒を漂わせる。コリアタウンとして有名な新大久保・百人町にありながら、その面影を持たない異質な一角、通称・イスラム横丁の不思議な光景だ。
 2005年にハラルフード(イスラム教の作法で用意された食品)の店ができてからこの通りにイスラム教徒が集まり、今では12カ国のイスラム系の店が並んでいる。私たちがインタビューしたシンガポール人短期留学生のナリシャ・イブラヒムさんは、「東京でトルコ人・インドネシア人・フランス人のイスラム教徒と知り合った」「東京のイスラム教徒は民族や国籍ではなく、宗教で団結している」と語った。
 世界の大都市で民族毎にまちが形成されることは多く、チャイナタウンなどがこれに該当する。しかし、日本では東京でさえもイスラム教徒が多くないため、彼らは国籍や民族ではなく信仰で結束する。ここは、制度化されていない「もう一つのジャーミー」なのだ。
写真撮影者:日本大学4年 高島智広
2015年7月10日(土)13時20分
百人町の文化通り(東京都新宿区百人町2-10-9)にて撮影

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