10.アパートとヒルズの隙間 ―モダニゼーションからグローバリゼーションへ―

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 2006年2月11日、建国記念の日(旧紀元節)に合わせて、明治天皇を祀る明治神宮の参道沿いに表参道ヒルズがオープンした。設計は安藤忠雄氏、事業にはラフォーレ原宿や六本木ヒルズなどを作った森ビルが主にあたった。
 ここには、1927-2003年まで同潤会青山アパートが建っていた。ヨーロッパで流行っていたモダニズム建築の様式が採り入れられ、日本における近代的集合住宅のシンボルとなっていた。ヒルズは、区が表参道の景観維持のために定めた30mの高さ制限を、建物の半分を地下に埋めることでクリアし、それなりの商業スペースを確保した。アパートの記憶を再生・継承させた38戸の住居も含まれるが、100近い店舗が入り、多くは外資系で占められている。洗練された最先端のファッションストリートは、完成の域に達しつつある。
  かくして、元々聖なる空間として整備された表参道は、モダニズムを経由してコマーシャリズムとグローバリズムが色濃く反映した空間に生まれ変わったのである。
 
写真撮影者:日本大学4年 西村美紀
2006年2月14日(火)18時頃
表参道ヒルズ内(渋谷区神宮前4丁目)にて撮影

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