10.新宿駅西口の発車標 ―遠距離流動者のための道路標識―

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 JR新宿駅の西口改札に通じるコンコースの上に、2段に並ぶ大きな発車標。埼京線や湘南新宿ライン、成田エクスプレス、中央本線(特急)などの、発車時刻や行き先などが次々に表示される。だが、行き交う人々の中で見上げている人は1人として写っていない。一体、誰がどのように使っているのだろう?
 後藤ゼミでは、平日の17時から19時に通過者の追跡調査を行った。改札入場前に発車標を目視した102人中48人は郊外に向かう埼京線・湘南新宿ラインに乗車したが、26人は発車標には掲示されない山手線に乗車した。走れば埼京線に間に合う、品川駅を経由すれば湘南新宿ラインを使うよりも早く着くかも知れない、座って帰るために上野駅まで行って始発に乗ろう、などと瞬時に判断した結果である。
 立ち止まってじっくり眺めるのではなく、主に遠距離を流動する人々が、早歩きしながらピンポイントでサッと見て次の行動に移す「道路標識」として機能しているのである。
写真撮影者:日本大学2年 馬場美紗樹
2013年7月22日(月)17時31分
JR新宿駅西口改札前(東京都新宿区新宿3丁目38-1)にて撮影

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