20.コミュニティの衰退 ―監視社会化を引き起こす根本原因―

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 「誰か見てるゾ!」と訴える防犯ポスター(写真上)が張られる月島界隈は、かつて石川島の工場で働く労働者の町だった。住民の生活は島内でほぼ完結し、共同性と連帯性が育まれていた。また、住民が相互に目を行き届かせて、事故や犯罪を未然に防ぐ機能も有していた。しかし近年、地域外との人口移動と流動が活発になったことで、「生身の人の目」が働かなくなった結果、ポスターにある「擬似的な人の目」に頼らざるをえなくなった。効果は絶大で、犯罪件数が月平均70%も減少したという(月島警察署調べ)。このことは、いかに地域コミュニティが衰退しているかを示している。
 では、「生身の人の目」ばかりか「擬似的な人の目」も効かなくなると、一体どうなるのだろう? 答えは、20台もの監視カメラが回る東京駅の東海道新幹線改札口(写真下)にある。「人の目の抑止力」が期待できない場所では、「機械の目」が人々を一方向的かつ無差別に監視し管理する。過剰な監視社会が、私達を待ち受けているということだ。
写真撮影者:(上)日本大学4年 梶山剛志 (下)日本大学3年 加藤智明
上:2004年2月10日(火)17時頃 中央区佃2丁目にて撮影
下:2004年7月30日(金)17時頃 JR東京駅の東海道新幹線改札口(千代田区丸の内1丁目)にて撮影

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