8.通路を巡る意図と偶然

8.朝日新聞比較画像.jpg8.後藤ゼミ比較画像.jpg
  成田山深川不動堂の「祈りの回廊」とルミネエスト新宿の2階にある通路。クリスタル製の五輪塔が発する白い光と休憩所で休む女性の生足が、妙にまぶしく輝いている。通路に込められた明確な「意図」に「偶然」が折り重なっていくと・・・。

朝日新聞ロゴリード画像.jpg Photo Story 2017年8月17日 「きらめきの回廊」
8.朝日新聞メイン画像.jpg
  全長75メートル、最大4メートルの高さの壁に、手のひら大のクリスタル製五輪塔が約1万体並ぶ「祈りの回廊」。一つ一つの五輪塔にLEDが設置され、白い光が回廊を照らす。
  東京都江東区の成田山深川不動堂が2012年に新本堂を建てた際に回廊を併せて造った。ご本尊の真下を通る造りで、参拝者が手を合わせ祈る姿も見られる。同堂の樋口照喜さん(57)は「どなたでも気軽に回廊を通って頂き、心を静かに本来の自分を見つめ直して頂ければ」と話していた。
(写真・文 竹花徹朗)
2017年8月17日 朝日新聞夕刊 1ページ 東京本社 
Nマークリード画像.jpg 後藤ゼミナール 2010年度 No.16 「無料休憩所に仕掛けられた広告機能 ―客による無意識の上演―」
8.後藤ゼミメイン画像.jpg
  スラリとした足、足、足。無防備に投げ出された女性たちの足に自然と目がいってしまう。ここは、新宿駅東口の駅ビル「ルミネエスト新宿」2階にある連絡通路である。2007年9月、隣接しているスターバックスカフェのオープンに伴い、通路に面して無料の休憩所が作られた。56席ある座席はいつも人で溢れ、通路との段差に座り込む人さえいる。
  10/2(土)に私たちが行った直接観察によると、16時頃の休憩所利用者64人中52人が女性であり、スタバの商品とは別にルミネエスト内の店舗の紙袋がやたらと目についた。また、16:30-16:45の15分間だけで219人が通路を行き来し、うち女性は177人(81%)にも及んだ。若い女性向けの店舗構成になっているため、女性客が圧倒的に多いのだ。
  その結果、休憩所には解放感が醸し出され、自然と足が投げ出される。1段高いステージで通路側に足を出して座ることで、知らず知らずのうちに“見られる”存在となる。魅惑的な彼女たちは男性だけでなく、ルミネエストの広告としても視線の的となっている。
写真撮影者:日本大学3年 荻井沙織
2010年8月2日(月)16時00分
ルミネエスト新宿2階連絡通路(新宿区新宿3丁目)にて撮影

朝日新聞 地図



後藤ゼミナール 地図


大きな地図で見る

プロジェクト