6.檻の中の喫煙 ―見られることの抑制力―

池袋喫煙所main.jpg
 西武池袋本店の手前(北側)に池袋パルコ(池袋駅東口)があり、左側のビル群との間に中州のような場所があって、両側は約40mも離れている。信号が変わる度に大勢の人々が歩行する向こうに、2013年5月に豊島区とJTが新設したガラス張りの喫煙所が見える。
 後藤ゼミが、喫煙所内の喫煙者とその前を通る歩行者それぞれ100人に調査を行ったところ、喫煙者のうち歩行者の視線が気になると明快に答えた人が17人いた。一方、歩行者では、実に58人が喫煙所にまなざしを向けており、規模の大きさや喫煙者への嫌悪等が理由に上げられている。透明な仕切りの内と外では、喫煙に関する意識に開きがあるようだ。
 豊島区によると、この喫煙所のタバコの吸殻の量は、以前あった2つの喫煙所に比べ約20%も減少している。見られることによる引け目や窮屈さが抑制力を効かせ、逆に路上喫煙を助長させることにもなる。となると、結果的に煙に巻かれるのは非喫煙者。分煙の徹底による喫煙環境の整備が、巡り巡って嫌煙者を増やすことにつながりかねない。
写真撮影者:日本大学3年 澤野孝太
2013年8月1日(木)16時30分頃
池袋駅東口前(東京都豊島区南池袋1丁目29)にて撮影

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