30.浅草寺と羽子板市 ―邪気を跳ね返す伝統―

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 裸電球に照らされ、100枚以上の色鮮やかで立体感のある押絵羽子板が並ぶ。小さいもの(6号)で5,6千円、16号(長さ48cm)で3万円ほどする。毎年12月17?19日に行なわれる浅草羽子板市(歳の市)の様子である。屋台が30軒ほど、浅草寺境内に出店する。
 女児が生まれた家に羽子板を贈り、贈られた側ではそれを飾って初正月を祝う(子供に憑く邪気を跳ね返す)習わしが継承されており、縁起物として買い求める人も多い。
 東京羽子板商組合へのインタビューによれば、職人たちは1年間かけてひたすら作り続け、この3日間で売り尽くして身を立てる人が多いという。何工程もある製造過程は分業によって成り立ち、高度な技能を必要とするため1日に1,2個しか作れない。
 職人たちが精魂込めて作った押絵羽子板は、ここ浅草で1年に1回だけ開かれる羽子板市で、全国各地へと渡っていく。3日間の来場者は、平日だけだと30万、土日が含まれると50万人にものぼる。浅草寺でしか成立しない一大伝統行事なのである。
写真撮影者:日本大学4年 栗原理恵
2008年12月18日(木)18時25分
浅草寺内(台東区浅草2丁目)にて撮影

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