2.百貨店への“誘”歩道 ―地下通路を介した新宿の一体化と巨大化―

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 2008年6月14日、東京メトロ副都心線の開通と共に、新宿の地下空間が完成した。
 ここは副都心線新宿三丁目駅から徒歩約3分、南口に位置する新宿高島屋の地下鉄口である。この場所から東口に位置する伊勢丹を経由して西口に位置する小田急と京王まで、百貨店が地下通路で相互に繋がり、その総距離は約3kmにも及ぶ。地上ではJRの線路と駅が新宿を東口、西口、南口界隈に分断していたが、地下通路を使えば自由に行き来できてしまう。副都心線の開通は、百貨店などの商業施設を地下でつなぎ合わせ、横にも縦にも拡張した超巨大商業空間を生み出したのである。
 写真は高島屋への入り口だが、地下鉄の改札口を出て通路を歩いてきた人にとっては、地上への“出口”にもなる。ところが、外へ出る前に百貨店に誘い込まれてしまう。そう、完成した地下通路は、遊歩道と同時に消費を促す“誘”歩道の役割を担っているのだ。
 高島屋から出てきた遠足気分の子ども達が次に向かうのは、伊勢丹? それとも?
写真撮影者:日本大学4年 卯野 友美
2008年7月31日(木)14時24分
高島屋新宿店地下鉄口(渋谷区千駄ヶ谷5丁目)にて撮影

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