プロジェクトの概要

Doing Visual, Cultural & Urban Sociology!

 今日の「東京」や「東京人」のあり様を先鋭的・象徴的に表象すると考える場面を1枚の写真に収めて、適切なタイトルを掲げると共に、社会学的に分析して400字程度の解説を加えます。写真をもとに「物語」を構想した上で、写真に写し取られている場面(現場)に立ち降りてフィールドワーク(参与観察、直接観察、聞き取り、アンケートなど)を実施し、関連する文献(先行研究)や史・資料を集め、読み込み分析して、作品のタイトルと400字程度の解説文を練り上げます。

 かくして、写真+タイトル+解説文=イメージ+テクストのワンセットから成る作品が、グループワークを2ヶ月半ほど費やして仕上げられ、次々に産出されます。1994年度-2020年度の27年間に発表(学内で展示発表しウェブサイトでも公開)した作品数は、合計で575点を数えます。このプロジェクトを通して「集合的写真観察法(collective photographic observation)」という独自の手法が開発されましたが、これは、グループ・ワークを通して、肉眼では捉えきれない都市の意識や無意識が写り込む写真を凝視・観察して「小さな物語素」を引き出し、社会学的想像力を働かせて写真の背後に隠れている「より大きな社会的世界」を読み込み、フィールドワークを行いデータを収集・整理・加工・分析して、それまで見えていなかった「社会のプロセスや構造」を可視化・可知化すること(集合表象の結晶化)によって、社会的世界に関する新たな知見を提示する方法です。

 写真から社会学的な視点(アイディア・仮説・概念・命題など)をア・ポステリオリに見出して、いかなる意味世界を構想し探求するかであり、これを実現する手法が「集合的写真観察法」と言えます。写真の撮影以上に、他のリサーチ・メソッドを動員しながら、写真を観察し読み込み解釈して「物語る」ことに力点が置かれ、ゼミの学生たちは、フィールドワーク(データの収集と分析)を重ね、共通の言葉を紡いでいくことによって、「東京」と「東京人」に対する<センス・オブ・ワンダー(不思議に目を見張る感性)>を磨き、<ソシオロジカル・イマジネーション(社会学的想像力)>を高めて、見え隠れしていた社会のプロセスと構造を可視化・可知化し、作品に結実させていくのです。このプロジェクトは、1994年度より取り組んでいます。

プロジェクト