9.黒服がうみだす連帯感 ―原宿・神宮橋の日曜日―

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 「写真を撮らせてください」と言うと「ポーズはどうします?」と言う返事。撮られることに慣れている。ここ原宿の神宮橋には、日曜日になると黒い服を身にまとったロックバンドのファンが集まってくる。地べたに座り込んでメイクをしたり、ヘアスタイルのチェックをしたり、写真をとりあう少女達。ただ単にここにいるのが楽しいのか、普段と違う自分が楽しいのか、写真をとられ人々のまなざしを感じることが楽しいのか。いや、彼女達は仲間を探しにここへ来る。黒い服が仲間であることの目印。それは、彼女達の自己主張であり、連帯の象徴でもある。
 人間関係が希薄となり、他人に無関心でいられ孤独を深める街、東京。その一方で、神宮橋に自分の居場所を見つけ、日常から解放され、仲間を求めることが許されるのも、また東京の一面である。
<写真原作者:日本大学4年 高橋知子>

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