9.ホームレス式情報ネットワーク ―炊き出しに見る計算と選択―

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 新宿中央公園の一角。整然と並び話しを聞くホームレス達。その数、約500人。彼らの多くは、主催団体の行う布教活動ではなく、その後の「炊き出し」目当てに集まっている。
 同団体によれば、当初は80人程度だったが、ホームレスの間で情報が一気に広がり、1ヵ月後には現在の人数が集まるまでになったそうだ。炊き出しを行う団体はいくつもあり、白米のみ、おかず付き、おかわり可など様々である。集まるホームレスは内容を正確に把握し、条件次第で人数が違ってくる。好条件なら、上野や墨田からもはるばるやってくる。
 炊き出しの時間や場所に関する細かな情報を、携帯電話やパソコンを持たない彼らが入手できるのは、ホームレス同士の「横のつながり」があってこそである。彼らは、つかんだ情報を「口コミ」という原始的な手段ですばやく伝達する。そして「費用対効果」を各自がしっかりと値踏みし、「選択」した上で行動する。このような現象は、決して行き当たりばったりではない彼らの行動様式の現れなのだ。
写真撮影者:日本大学2年 斉藤淳一
2004年6月30日(水)17時頃
新宿中央公園(新宿区西新宿2丁目)にて撮影

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