6.下を向いて歩こう ―カメラが僕らを見つめてる―

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 ここは新宿中央通 り商店街。よく見ると、電灯に掲げられた旗の上に防犯カメラが設置されている。その数は全部で19台。地元商店会は相次ぐ悪戯に耐えかね、2001年11月、カメラ設置に踏み切った。24時間365日、カメラは街の様子を記録し監視し続ける。これによってゴミの不法投棄や落書きが減少し、効果 は絶大だと商店会長は語る。2002年4月には、すぐそばの歌舞伎町でも、警視庁が50台の防犯カメラを設置した。
 しかし、私たちが9月に中央通りで60人に行った街頭インタビューによると、約8割がカメラの存在を知らなかった。つまり、カメラを意識するのは主に犯罪者や犯罪予備軍であり、一般 の人々には関心を持たれていない。にもかかわらず、カメラは一部始終を映し続ける。犯罪とは無関係な大多数の人々も、知らないうちに監視されてしまっている。
 犯罪を抑止するカメラの設置は、表面的には成功と言えるかもしれない。だが、これからの「監視社会」を予見する恐ろしさが、同時に隠されてもいるのである。
写真原作者:日本大学4年 時田昌彦
2002年6月11日(火)
新宿中央通り(新宿区新宿3丁目)にて撮影

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