1994年度の第1回展以来、毎年欠かさずに開催し続け、今回で29回目となった“写真で語る:「東京」の社会学”展。初めての試みとして「東京」都心部の地下空間にフォーカスを当て、「『東京』の地下空間 ―地下と地上との合わせ鏡―」をメインテーマとしました。2022年5月25日(水)に、4年ゼミで東京駅丸の内駅前広場に集合し、丸の内・八重洲・有楽町・銀座の地下と地上を皆で歩き回りました。ゼミの街歩きとしては3年ぶりのことでした。それ以降、4つのチームに分かれて写真撮影とフィールドワークを重ね、使う写真を定め5つの作品づくりに精を出しました。
2018年度の第26回展までは、原則として1写真にタイトルと解説文を加えて1作品を構成し会場で(その年の「東京」と「東京人」を切り取って)展示発表するというスタイルを採ってきましたが、2019年度の第27回展以降はメインテーマを掲げるようになりました。2019年度が「見えにくい『権力』作用 ―管理と監視と操作と誘導と―」、2020年度が「コロナ禍の『東京』現象」、2021年度が「コロナ・パンデミックと東京オリンピック ―グローバリゼーションと祝賀資本主義と『東京』との相互連関―」でした。また、2019年度までは写真を1作品につき1点としていたものを、2020年度以降は1つの作品に複数の写真を使うようになりました。
こうした変化を、私たちは「進化(プロジェクトの深化)」と捉えています。今回発表する5作品は、1作品に4枚の写真を用い、フィールドワークとチーム及びゼミでの議論に裏打ちされた解説文の分量を増やして拡充を図りました。1作品の解説文(本文)の文字数は2019年度までずっと400字程度でしたが、2020年度に600字程度、2021年度に1600字程度へと推移し、今回は1800~2000字となっています。コロナ禍で2020・21年度はフィールドワークにも大きな制約があったのですが、今年度は以前の水準に近いフィールドワークを行うこともできました。
発表数は5点と少ないものの、質と量の両面にわたってより充実した作品に仕上げることが出来た、と私たちは考えております。各作品の写真を凝視し解説文を読み込んで、想像力を働かせながら味わってみて下さい。
担当教員:後藤範章
2022年度4年ゼミ生(五十音順;◎ゼミ長・○副ゼミ長)
阿部裕介・荻野哲平・◎大牧美衣奈・岡田笑門・加藤唯・河西優介・國村友里子・
○小島愛菜・徐梓越・鈴木悠佑・関根楓斗・○田端兼己・○中村圭佑・松村淳平・山口航平